宮下 朋子 教授

宮下ゼミ テーマ:嗜好性・実用性に優れた嚥下調整食の提案

 現在の日本は超高齢社会であり、高齢者の食問題には緊急な対応が求められています。
 宮下ゼミでは、高齢者に多い嚥下障害に視点を置き、「おいしく、作りやすく、適正な嚥下調整食」のレシピ考案を目指して活動しています。

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実際に作った嚥下調整食
  1. 嚥下調整食に利用されているゲル化剤やとろみ剤の性質を知る。(実験)

     嚥下調整食を作る上で使うゲル化剤やとろみ剤の性質を知ることは重要であり、そのために様々な実験を行います。
     ここでは、種類の異なるゲル化剤(「ミキサーゲル」と「ソフティアU」)を使った全粥を作り、ゲル化剤の違いによって粥の性質がどのように異なるのかを確認しました。その結果、同じゲル化剤でも、ミキサーゲルは柔らかなモチ状で粘りが強く、ソフティアUに比較してどちらかというと飲み込みづらい。それに対してソフティアUは、粘りは少なく飲み込みやすいが、甘味があることから好き嫌いが分かれるだろう事がわかりました。
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  2. 高齢者の嗜好に合った嚥下調整食の調製

    (1)嚥下調整食の区分
     miyashita_003.png高齢者の障害に合わせた嚥下調整食は、嚥下障害の程度に合わせて調整する必要があり、作った嚥下調整食がどの区分(障害の程度)に当てはまるのかを判断しています。本ゼミでは判断基準に咀嚼嚥下リハビリテーション学会の「学会分類2021」を用いています。(右図)



    栄養指導Naviより
    https://healthy-food-navi.jp/?post_type=use&p=4886

    (2)嚥下調整食の実習例
     ゼミでは、いろいろな嚥下調整食を作ります。以下はその一例です。なお( )は、実際にテクスチャー測定を行って確認した区分コードです。
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    (3)嚥下調整食の物性測定
     実習で作った嚥下調整食のテクスチャーを測定し、嚥下調整食のどの区分に該当するのかを確認します。
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