あいづまちなかアートプロジェクト2015「会津・漆の芸術祭」企画展示関連事業【会津若松市文化課からの受託事業】 【平成27年度】

 あいづまちなかアートプロジェクト「会津・漆の芸術祭」にて、総合アドバイザー・展示アドバイザーとして全国の漆芸系大学連携の作品展示計画を中心に、学生滞在研修プログラムや市民向けワークショップ等の企画と実施に関する指導にあたった。会津漆器関係者との交流も図り、会津漆器と日本の漆工芸における今後の可能性を示した。


 あいづまちなかアートプロジェクト「会津・漆の芸術祭」にて、総合アドバイザー・展示アドバイザーとして全国の漆芸系大学連携の作品展示計画を中心に、学生滞在研修プログラムや市民向けワークショップ等の企画と実施に関する指導にあたった。会津漆器関係者との交流も図り、会津漆器と日本の漆工芸における今後の可能性を示した。

<実施状況>

  1. 企画及び作品展示計画の策定
     産業情報学科デザイン情報コースの教員が「あいづまちなかアートプロジェクト2015」総合アドバイザー・展示アドバイザーとして、プロジェクト実行委員会運営にあたる会津若松市文化課と企画展示計画について検討し、次のとおりとした。
    1. i.昨年度に引き続き「会津・漆の芸術祭」において、漆を学ぶ美術関連大学と本学を交えた作品展示と、京都市立芸術大学との連携で子供たちが漆に触れながら遊べる空間の提案を行う。
    2. 年の意見交換会での発案も踏まえ、8月の大学夏季休業期間に「真夏の漆塾」として、会津の漆文化や漆芸技術に関する学生滞在型の研修企画を立て、全国の漆芸教育関連大学へ参加者を募るとともに、その成果を報告展示の形で提示する
    3. 大学連携の作品展示は「うるし その可能性と未来」展とし、上町松本家の蔵、末廣酒造嘉永蔵、七日町芳賀家の蔵をギャラリーとして利活用する。遊べる空間作りは「さわろう、あそぼう」として七日町の空き店舗、尚伸にて展示する。
    4. 東京藝術大学、富山大学、京都市立芸術大学、金沢美術工芸大学、東北芸術工科大学、秋田公立美術大学、宇都宮大学、筑波大学、広島市立大学の計9大学から教員、学生の作品出展協力を得るとともに、各大学に対し、今後の継続に向けた意見交換会、ワークショップの参加開催依頼を行う。
    5. 漆を素材とする現代美術家(竹内克己、伊良原みつみ)、各方面で活躍する会津在住女性漆芸作家(白岩有美、吾子可苗、沼田英恵)の3人展、ほか、会津の作り手を紹介する展示を行う。
  2. 作品展示「うるし その可能性と未来」
    日時:平成27年10月3日(土)~11月1日(日)
    場所:上町「松本家蔵」、「末廣酒造嘉永蔵」、七日町「芳賀家蔵」、七日町「尚伸」
      「松本家蔵」では奥行き15間(約27メートル)の蔵に、京都市立芸術大学、東京藝術大学、富山大学、金沢美術工芸大学、東北芸術工科大学からの出品作品30点を展示し、七日町「芳賀家蔵」においては宇都宮大学、筑波大学、会津大学短期大学部18点の漆芸美術作品を展示した。そして、「末廣酒造嘉永蔵」の展示では、参加大学の教員作品展覧会場として、18点の漆芸美術作品を展示し、総作品数66点という見応えある展示となった。
     七日町の空き店舗「尚伸」では、これまで会津大学短期大学部と京都市立芸術大学による木・漆で制作された大型遊具(滑り台、大型会津桐製積み木、漆ドーム、足けり車、ドングリコロコロ)に加え、新たに漆けん玉や漆パズルを制作し、子供たちが自由に遊びながら、漆や木の触感を楽しむ空間として提案した。また、本年も壁面一面に模造紙を貼り自由に絵を描けるスペースも設けた。
  3. 「真夏の漆塾」
    開講日時:平成27年8月19日(水)~8月24日(月)
     市の所有する宿泊研修施設「少年の家」に滞在しながら、会津地域の国宝や重要文化財、漆の植栽地等を見学し、会津や喜多方の漆工職人の工房を訪れ漆器作りの各工程について理解を深め、技術講習会として会津の伝統技法としての「鉄錆絵」の技法を学ぶという研修内容で開催した。広島市立大学、京都市立芸術大学、宇都宮大学、筑波大学、会津大学短期大学部から計16名の教員と学生が集まり、交流が行われた。中でも、鉄錆絵の講習は、現在では2人だけとなってしまった技術継承者の国分幸一氏、小松茂夫氏を講師に招き、用具の紹介、錆絵漆の調合や製作技法を細部に至るまで教授され、参加者一同、目を輝かせながら取り組んでいる姿がとても印象的であった。
  4. 意見交換会とワークショップ
    開催日時:平成27年10月10日(土)~10月11日(日)
    場所:七日町「芳賀家蔵」、レストランUNO
     作品展示参加大学のうち富山大学、筑波大学、宇都宮大学、東北芸術工科大学、会津大学短期大学部と小沼会津漆器共同組合理事長をはじめ、会津漆器の職人との意見交換交流会を開催し、12日は富山大学による金箔絵のワークショップが開催され多くの参加者を集めた。