第59回福島県総合美術展応募結果報告

 産業情報学科 デザイン情報コース クラフトゼミでは、2年生4名全員が県美術展に応募し全員が入選を果たすと共に、内1名は青年の部の枠を飛び越え福島県美術奨励賞を受賞する栄誉に輝きました。制作時間の限られた中、乾漆造形で非常にクオリティの高い表現と技術で作品を完成させた学生達を誇りに感じています。

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福島県美術奨励賞受賞作品 「温」 景山葉月
作品サイズ:40×20×h50cm
寸評:人と人とは、支え合って生きているものである。そこからインプレッションされる言語に「温もり」があり、彼女は、その暖かなイメージを流動的な面構成で見事に造形化した。仕上げには、鏡面に磨き上げる呂色仕上げの技法は冷然となるため、半艶消しとなる朱の塗り立て仕上げに挑戦し、完璧な技術でその表現目的を達成させた。

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入選作品 「流星鉄」 近江恵
作品サイズ:30×21×h21cm
寸評:製鉄産業の盛んな岩手県釜石市出身の彼女は、鉄鉱石からイメージをインスパイアされ鉄の結晶体から人為的精錬により鉄球化する行為と時間の流れを流星の慣用的形態を利用し表現した。塗膜としての塗漆をあえて行わず、下地の質感や錫粉による鉱石の鈍い輝きをうまく活かし力強い作品となった。

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入選作品 「流れ」 長瀬久美子
作品サイズ:39×26×h8cm
寸評:黒漆の呂色仕上げの質感に興味を強く持った彼女は、漆黒鏡面の流動体で素材感を表すことをテーマとした。流動性に時間的ゲル状変化を感じさせるため、丸みを帯びた部分と流れ出す速度を表現した突起部の混在も成功し、呂色仕上げも技術的に完成度の高いものとなった。

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入選作品 「静穏 ーふるさとの山ー」 橋本聡美
作品サイズ:45×15×h30cm
寸評:郡山市から磐越西線で通学する彼女は、その帰路闇に包まれどっしりと横臥する磐梯山の荘厳な静けさと裾野に広がる人々の営みの灯火を穏やかに包含するその霊山の姿を漆黒の呂色仕上げで現すと共に街の明かりを遠近法を用いたアワビ螺鈿で表現し、雄大さ・暖かさ・神秘性までをも感じさせる秀作となった。