2010年度 社会福祉学科オリエンテーション

「出会い」のためのレクリエーション
1年前にオリエンテーション・キャンプを行った2年生にとってオリキャンは楽しい思い出作りの場ですが、1年生にとっては大学を離れて初めて1・2年合同で行う行事であり、少なからず不安と緊張を感じながらの参加となります。2010年度オリキャンの最初の行事は、2年生のオリキャン委員がグループワーカー役となり、参加者の不安と緊張を和らげるためのグループ・エンカウンターのセッションを行いました。

短大におけるテクニカルライティング
短大の授業は高校までとは異なり、1コマ90分間の長時間の講義が続きます。先生の中にはほとんど板書をしてくれない方もおられますし、また板書だけを写し書きしても後で全く意味が分からないことが多いのも実際のところです。2010年度オリキャンでは、専任の先生がたから短大での授業の受け方を講義していただき、その後2年生から1年生に授業の受け方のアドバイスをしてもらうという機会を作りました。2年生にとっても、授業の受け方、資料の調べ方、レポートの書き方などを再点検する良い機会となったようです。

会津大学短期大学部の近辺を通る沢山の小川は、阿賀川に流れ込みます。その阿賀川は、県境を越えて新潟県に入ると阿賀野川と名前を変えて、はるか日本海まで流れ出ていきます。実はこの阿賀川は、鉄道や自動車道が整備されるまでは、会津と新潟、そして北海道や大阪・京都などへと続く海運および文化交流の主要なルートだったのです。 そんな阿賀川の下流で、現在も未だ解決していない社会問題となっている新潟水俣病が発生しました。2010年オリキャンの開催地である阿賀は、その被害の中心地だったのです。

新潟水俣病について学ぶ  
私たちは映画『阿賀に生きる』を視聴し、さらに映画の中で水俣病患者の人々と一地域住民として触れ合いながら支援する姿が印象的だった籏野秀人先生(安田町水俣病患者の会事務局)の講演を聞きました。籏野先生は勤務する工務店の作業着姿で講演をされ、「水俣病患者は常に病気で苦しんでいる」という誤ったイメージを以前は先生ご自身もお持ちだったこと、しかし実際に患者さん達と交流する中で「『水俣病患者』ではなく、『阿賀の人生の達人』として触れ合う」方向性にシフトしていったこと、そして支援の中では喜怒哀楽を共に分かち合い感じ合うことを大切にしておられること等を教えてくださいました。

新潟水俣病について学ぶ  
講演会後のディスカッションでは、 1年生からは「小中高と水俣病については学んできたが、患者の実際の暮らしなどについては全く知らなかった」「自分自身も偏見を持っていたように感じる」等の感想が多く出されました。一方2年生からは、それぞれの目指す「専門家」としての支援と籏野先生が行っている「ボランティア」としての、しかし丁寧で行き届いた支援とのギャップから、「専門性」の意味を再考する意見も出されました。専門家を目指しつつも、常にどこかの地域住民である私たちは、様々な社会問題にどのように向き合っていけば良いのでしょうか。新潟水俣病の患者さん達、そして籏野先生の生き様は、私たちに様々なことを投げかけてくれました。
なお、オリキャンの実施に先立って新潟県教育委員会から冊子『未来へ語りついで ──新潟水俣病が教えてくれたもの──』を提供していただき、学生たちは事前学習の上でオリキャンに臨みました。ここに記して、ご協力に感謝いたします。

ゼミ生が語る「先生の素顔」
社会福祉学科には7つのゼミ(特別演習)があり、担当の先生の専門分野に応じた特色あるゼミ活動が行われています。先生がたの自己紹介は授業の始めに聞くこととなりますが、2010年度のオリキャンでは、研究者であり、教育者でもある先生の、プライベートの生活や趣味や特技の話などを、ゼミ生である2年生がクイズやコントなど様々な方法で教えてくれました。

生活相談(グループガイダンス)
多くの1年生は、不慣れな会津の地で、初めての一人暮らしをしはじめたばかりです。大学の先輩であるのみならず会津生活における先輩でもある2年生が、「サークル」「バイト」「テスト・学校」「観光・遊び」「進路」の5つの分野ごとに、1年生に様々な情報を教えてくれました。

グループワーク(飯盒炊爨)
野外活動は、社会福祉援助技術における集団援助技術(グループワーク)の一種でもあります。2010年度のオリエンテーションキャンプでは、同じ出身地域の1年生と2年生がグループとなり、ご当地芋煮を作りながら同郷同士のグループ意識を高めていきました。
丸麩や貝柱の出汁で会津らしさを出した会津班、「かっけ」を入れた青森班、「ひっつみ」を入れた岩手班、豚肉を使いながらも山形内陸の醤油と牛肉の芋煮の味を再現したうえ締めのうどんはカレーうどんに味を変えるという「芋煮の王道」を教えてくれた山形班などと各班のオリジナリティが発揮された、季節外れではありますがとても楽しい芋煮大会となりました。