ふくしまクラフトスキルアッププロジェクト【公益財団法人福島県産業振興センターの助成事業】【平成24年度】

 クラフト産業に代表される地域産業やものづくり企業の活性化により、産業のレベルアップを図り、商品開発力の向上を目指す、県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターとの協働事業。
 作り手や企業がひとつとなってプロジェクト推進協議会を設立するのをはじめ、分野の異なる作り手が連携し、デザイン力の向上を図るワークショップなどを開催した。

<実施の状況>
 事業実施にあたって県内のクラフト産業の分析を行い、方向性の検討を行った。その結果、県内関連分野での「デザイン力の底上げ」と「ビジネス目線」を常に意識して実施することが地域の活性化につながると考えた。
 具体的な事業実施の前段階として、(公財)日本デザイン振興会Good Design復興支援のスキーム(応募費用無料措置)を活用し、Good Designへの積極的な応募を県内クラフト関係者や企業へ勧め、自社の製品デザインの再確認・認識の機会になるようにした。
  その結果38アイテムが一次審査を通過し、最終的に12アイテムがグッドデザインに採択され、例年1アイテムがあるかないかの福島県の状況が一変した。クラフト関係者にとってデザインを考え直す良い機会になったと思われる。
 主な取組みは下記のとおり。
(1)推進協議会(仮)の立ち上げ検討
 協議会については様々な分野でありがちな産業界(作り手)-行政-教育機関という組み合わせの団体ではなく、クラフト産業の「応援団」的なグループになるよう現在企業訪問を行っている。このグループに福島のクラフトの作り手を一層アピールした。県内クラフト作り手の顕在化と応援団的な企業の顕在化を図った。
(2)クラフトスキルアップ・ワークショップの開催
 クラフト作り手の顕在化(訪問調査)を行った。この調査から新商品開発や異分野とのコラボレーションにつて積極的な作り手、企業を把握した。結果として、漆器15人、陶磁器10人、繊維3人、木工5社、紙3人程度のリストアップを行うことができた。また他県に避難した大堀相馬焼の若手窯元の状況を把握し、スエトシヒロ氏、亀田大介氏、山田慎一氏、山田正博氏について調査を行った。
 (3)商品開発ワークショップの開催
 福島県で作られるものは古くから「超高級品」ではなく「普段使い」の一般的なもの、安価・大量生産、最終製品よりは原材料の供給基地という色彩が強い。これを逆に強みとしてクラフトの手作り感と最新工業技術(ICT,RP)の融合を図ったものとこれまで漆を用いたものがなかった分野についての検討を行った。具体的には3Dプリンターを用いた樹脂成型と漆を組み合わせによる製品開発、加飾技法を用いた装飾品制作(付け爪)であり、3Dプリンターについては企業2社と調査検討を行った。付け爪についてはグループをつくり、デザインから試作まで行った。併せて「会津型」について勉強会を行い、今後の商品企画について検討を行った。

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